特養からおおきなわ

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晴れときどき雨 3話(生活相談員) 金田さんが呼んでましたよ

「金田さんが呼んでましたよ」


事務所で仕事をしていると、介護の職員から声をかけられる。

いつものやつかなと考えながら、「はい、今から行きますね」と応える。

金田さんは今年80歳になる利用者で入所して10年になるのだが、要介護度が高い

介護老人福祉施設の中では比較的しっかりしている方である。

居室の前に行き、声をかける。

「おはようございます。金田さん」

あっ 朝からゴメン   なさいね

「今日はどうなさいました?」

あのね、町田さんがね  私のことね いじめるの。車イスも自分でこいでくださいだとか、自分でベッドにうつりましょうねとか、他の人にはやってあげるのに、私だけ自分でやりなさいって。

 
やはり、いつもの相談だった。

彼女の日常生活動作(ADL)は悪くない。
そのため、自分でできる事は自分でやってもらうよう施設サービス計画を立てているのだが、それが不満らしく、定期的にこのような相談をしてくるのである。

不満を解消するために、何でも介助してしまったほうがいいのか。難しい所である。
とにかく根気強く話しを聞く。

話し聞いてくれてありがとう   忙しい     のにね

「大丈夫ですよ」と笑顔で答え、部屋を後にする。

ケアマネージャーとも対応策について話し合わないとな。 と考えながら、事務所に戻り相談内容を記録する。相談記録を執るのも大切な仕事である。

机の上の電話から「ピピピ」と内線音が無機質に響く。 受診かな。と思いながら受話器を取る

 

つづく