特養からおおきなわ

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晴れときどき雨 7話 (生活相談員) 仕事も片付き

 仕事も片付き、陽のあるうちに仕事場を後にする。
 
 いつもの十字路を曲がるとオレンジ色の西日が飛び込んできた。

 まぶしさに目を細めながらも久しぶりの光景に嬉しさを感じてしまう。

 その西日のまぶしさを受けながら、信号待ちで車を停める。

 この仕事をし始めた頃、近隣施設の職員が入所者の預り金を着服して新聞沙汰になった事がある。

 この方とは仕事の付き合いもあり、人当たりもよく会議などでのリーダーシップもあった。
 
 着服した金は全額返済したとの事だが、もちろん仕事は辞した。「まさか、あの人が」なんて月並みな事を思ったが、どのような会社であれ着服事件は何年かに一度は話題にあがる。報道されないものもあるだろう。

 管理体制が機能せず、一人に任せすぎていたんだろうなとも思うし、管理しているお金を、お金として見てしまったんだろうな、とも思う。

  そう、昔の事を思い出しているうちに、西日のまぶしさは消え、昼と夜の境目に差し掛かっていた。

「今何をしているのかな」と、考えながら、ヘッドライトを点灯させアクセルを踏み込む。



つづく