特養からおおきなわ

福祉について発信します

神様のプレゼント 7話

暗闇に浮かぶ世界の中で、親子が遊んでいる。
 誰なのかは分からない。

 ふいに子供が泣き出す。それを見つめる母親の優しい目。
 子供の泣き声が大きく聞こえる。それがいつまでも続く。続く。

 その音がナースコールの音に変り、世界が崩れいつもの天井が映し出される。

 じいさん起きているか。

 「・・・・・・・・・・・・・・」

 じいさんどうした

 「あ~ あ~ 鈴木さん起きてるで」

 なんだじいさん、元気がないな

 「あ~ 鈴木さん、最近調子が悪くてな」
 「ご飯もよう食べられんし、こうしているだけでも辛くての」

 じいさんでもそんな事あるのか。120歳まで生きる言っていただろうよ。

 「あ~ そうじゃの」       「けど、しんどいわ」

 「わしもそう長くはないだろうな」

 じいさんなら大丈夫だよ

 「いや、鈴木さん。自分の事は自分が良く分かるよ」

 「まるで、自分の身体じゃないようじゃ」

 「次のこの日は迎えられんかもしれないの」

 そんな弱気な事を言うなよじいさん。

 「ほほ、そうじゃの鈴木さん」

 「しかし、ほんとにお迎えが近いじゃろうよ」

 「しんどいから、もう寝るわ」

 「鈴木さんよ、ホンマありがとな」

 おい、じいさん おい、じいさん     じいさんよ

 つづく