晴れときどき雨 6話(生活相談員) 生活相談員の仕事は多岐にわたる
生活相談員の仕事は多岐にわたるが、一番大きいのは入退所の管理だろう。報酬に関わる事なので欠員を長く出してはいけない。常に申込者の管理と援助が必要なのである。
次は預り金管理だろう。施設にもよるが入所者の通帳を預る所も多く、その出納管理を生活相談員が行うことが多いと思う。
私は10年前に介護職として施設に就職し、2~3年した頃に当時の生活相談員が退職しこの職に就く事になった。
社会福祉施設というのは退職者が多いというイメージもあるが、他の職種と比較した事はないので、実際の所は分からない。
退職する理由は人間関係、給与関係と様々だと思うが、自身が考えている福祉を実現させたいというものも多く、それは他の事業所への転職であったり、介護保険制度導入後は自身で事業を起す方も増えている。実際に同僚でもおり、他の施設からもその話は良く聞く。
自身の福祉の実現。しかし、それには経営というものもついてくる。
その両方が実現できれば素晴らしいだろうなと思う。
まあ、自分自身は現在の職で自分が考えている福祉を実現させたいと思っているのだが。
つづく
晴れときどき雨 5話(生活相談員) 今日の夜勤の時
「今日の夜勤の時、おかしな事があったんだよね」
夜勤明けの介護職員が話しかけてきた。
夜中の2時ごろ201号室の前を通ったら何やら話し声が聞こえてきたらしい。
「鈴木さんらしき人の声で、じいさん じいさんって、何らや隣りと話しをしているようだったんだよね」
鈴木さんは80歳を超え重度の認知症であり、ここ何年も声を聞いたことはない。 それで、部屋に入って確認したのか聞くと
「ん~ なんだか怖くなって、他の人にお願いしたんだけど、別に変わりはなかったんだって」
私の勘違いだったのかな~ と彼女は笑いながら離れていった。
おかしな事もあるもんだなと思いながら仕事に取り掛かるが5分としないうちに目の前の電話から内線音が響いた。
つづく
晴れときどき雨 4話(生活相談員) 高齢者施設では
高齢者施設では施設内の看護では難しいと判断された場合、近くの病院に受診になる事が多く、そういう時は家族に連絡し病院で待ち合わせをする。施設によっては介護タクシーを使う所もあるのだが、ここでは施設側で送迎を行っている。
家族との調整を済まし病院まで送る。状態からすると入院の可能性が高いだろう。三ヶ月を超える入院の場合、退所の対象になるので入院中の状態確認も大切な仕事だ。
施設に戻ると入所申込者の相談が待っていた。
本人の状況、介護の状況等の話しを聞くのだが色々なケースがある。
「今まで元気だったのに脳卒中で倒れ来週退院予定なのだが、とても家で生活できるレベルではない」
「要介護1で、まだ元気に家で暮らしているんだけどね。やっぱり今後の
事も考えてね」
「他の兄弟が協力してくれなくて」
「身寄りがいないから、私が看てるのよ」「遠い親戚なんだけど」
なかには、要介護認定も受けておらず元気に暮らしている方が申し込みに来る場合もあるのだが、現在利用している施設に不満があり相談に来るケースも多い。
「介護者の対応が悪い」「事故後に謝罪もない」「料金が高い」など、理由は様々である。
つづく
晴れときどき雨 3話(生活相談員) 金田さんが呼んでましたよ
「金田さんが呼んでましたよ」
事務所で仕事をしていると、介護の職員から声をかけられる。
いつものやつかなと考えながら、「はい、今から行きますね」と応える。
金田さんは今年80歳になる利用者で入所して10年になるのだが、要介護度が高い
介護老人福祉施設の中では比較的しっかりしている方である。
居室の前に行き、声をかける。
「おはようございます。金田さん」
あっ 朝からゴメン なさいね
「今日はどうなさいました?」
あのね、町田さんがね 私のことね いじめるの。車イスも自分でこいでくださいだとか、自分でベッドにうつりましょうねとか、他の人にはやってあげるのに、私だけ自分でやりなさいって。
やはり、いつもの相談だった。
彼女の日常生活動作(ADL)は悪くない。
そのため、自分でできる事は自分でやってもらうよう施設サービス計画を立てているのだが、それが不満らしく、定期的にこのような相談をしてくるのである。
不満を解消するために、何でも介助してしまったほうがいいのか。難しい所である。
とにかく根気強く話しを聞く。
話し聞いてくれてありがとう 忙しい のにね
「大丈夫ですよ」と笑顔で答え、部屋を後にする。
ケアマネージャーとも対応策について話し合わないとな。 と考えながら、事務所に戻り相談内容を記録する。相談記録を執るのも大切な仕事である。
机の上の電話から「ピピピ」と内線音が無機質に響く。 受診かな。と思いながら受話器を取る
つづく
晴れときどき雨 2話(生活相談員) あいさつを交わした後
あいさつを交わした後、
机の上を軽く整理し今日の仕事の再確認をする。
私の仕事は介護老人福祉施設の生活相談員で、忙しくも充実した毎日を送っている。
食堂ホールに向かうと職員の声と利用者の声が聞こえてくる。いつもの光景だ。
「どうぞたくさん頂いてください」
「はい、みそ汁ですよ~」
「お茶をどうぞ」
食事をしている方の何名かは何かしらの介助を必要としている。
自力では食べられない。途中で手が止まってしまう。かなりな時間を要する。
半分側を残す。食事を食事として見ず粘土のように遊んでしまう。
そして胃瘻、経鼻の方。
私も食事介助を受けている利用者さんにあいさつしながら声をかける。
「おはようございます」 「おいしいですか~」 「しっかり頂いてくださいね」
こうして、ひと通り声をかけながら状態もそれとなく見ているのだが、
その声かけに工夫が必要だなと最近考えている。
つづく
軽度要介護者の特養入所が引き続き可能に
軽度要介護者(要介護度1、2)の特別養護老人ホーム入所が引き続き可能に。
10月30日に開催された第51回社保審-介護保険部会において
「軽度(要介護度1、2)の要介護者であっても、やむを得ない事情により、特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の適切な関与のもと、施設ごとに設置している入所検討委員会を経て、特例的に特養への入所を認める」として、一定条件下で引き続き軽度要介護者の入所を認める旨の補足提案がされました。
制度見直しに伴い、①既存の入所者については、要介護1、2の状態であっても、要介護1、2に改善した場合についても、やむを得ない事情により特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合には継続入所を可能とする経過措置となる。また、②見直し後、要介護3以上で新規入所した者が
要介護1、2に改善した場合も、やむを得ない事情により特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、引き続き、特例的に継続入所を認める。
要介護1、2であっても特養への入所が必要と考えられる要因
・認知症高齢者であり、常時の適切な見守り・介護が必要であること
・知的しょうがい・精神しょうがい等も伴って、地域での安定した生活を続 けることが困難であること
・家族によるサポートが期待できず、また、現に地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないこと。
・家族等による虐待が深刻であり、心身の安全・安心の確保が不可欠であること。
全国老施協ニュース(2013 10.30)より抜粋